こんにちは、えびてんです。今回は統計検定準1級の合格体験記から、必要な勉強時間、おすすめの参考書、勉強法まで詳しく書いていきたいと思います。
はじめに
2021年6月度の統計検定準1級に合格しました!!!やったー!
統計検定準1級について
詳しくは以下の統計検定公式サイトを情報をご覧ください。
種々の確率分布、統計的推定、検定、回帰分析、分散分析、多変量解析、時系列解析、ベイズ推定、機械学習などかなり範囲は広いです。
レベル的には理系大学生でしっかりと統計を勉強した人レベルというところでしょうか。
合格するにはある程度腰を据えて統計の勉強に向き合う必要があると思います。
2級受かったから、次もなんとなく受けようと思うと手も足も出ません。また、1級とも試験の傾向が異なるので1級合格者でも準1級対策をしないと落ちる人はいると思います。
僕が受けた2021年6月度の統計検定準1級は最後の筆記試験でした。2021年7月度以降はCBT方式試験に変更されます。
自分のスペック
- 京都大学工学部(非情報系)出身。
- 統計検定2級は取得済み。
- 現在はAI開発(主に画像系)の仕事をしている。
大学ではまともに勉強した記憶がありませんが、統計検定準1級で使用する程度の大学の線形代数や微分積分の知識はギリギリありました。
学習時間、勉強法
期間 : 3ヶ月
勉強時間: 平日: 2時間 休日 5時間
総勉強時間:約300時間
仕事で疲れてできない日などもありましたが、できる限り毎日数式に触れるようにしました。
元気がある日は実際にRで実行したり、計算を自分の手で行っていました。
疲れている日はヨビノリのYoutubeで統計の動画を見て復習などしていました。
勉強は主に学術図書出版社「統計学実践ワークブック」をメインで使用し、分野別の参考書を何冊か併用しました。
おすすめ参考書については下で詳しく解説していきますが、学術図書出版社「統計学実践ワークブック」は必須だと思うので、準1級に合格したい人は買うことをおすすめします。受験会場でもみなこれを開いていました。この問題集は3周解きました。
試験の感想, 合格発表
試験開始直後、問題を眺めた瞬間に「これは…やばい…」と思いました。時間も結構ギリギリで、自己採点用に答えを書き写す時間もありませんでした。
終了の合図がした瞬間、「完全に落ちた」と思いました。6割が合格ラインと言われていますが、僕は半分できたかなあぐらいの出来でした。
出題的には数理的な問題が多く出ました。準1級の範囲はかなり広いですが、広く浅くではなく広く深く、手法の使い方や解釈の仕方だけでなく理論を勉強しなくては安定して合格できないと感じました。僕の感覚では間違いなく2021年は過去試験のなかで一番難しかったです。
帰り道はかなり落ち込んでいましたが、SNSで「統計検定準1級」で検索すると、自分と同じような感想を抱いている人ばかりだったので少し安心しました。
どうせ不合格だろうと思っていたので、試験のことは忘れようと餃子を爆食いして家に帰りました。
受験発表方法はWebと郵送です。僕は受験番号を忘れてWebでは照会できなかったので、郵送で結果を知るということになりました。
受験から1ヶ月経たないくらいの頃、ポストを開けると日本統計学会からの大きめの郵便物が入っていました。どうせ落ちていると思ってあとで開けようとしていましたが、妻がその場でビリビリと開封しました。そしたらなんと合格!!
全く期待していなかっただけにめちゃくちゃ嬉しかったです。
参考書
使用した参考書とレビューをしていきたいと思います。おすすめ度を5段回評価で書いています。あくまで本の評価でなく、統計検定準1級を受験する上でのおすすめ度とします。
日本統計学会公式認定 統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック
これは準1級合格において必須の参考書、問題集となります。過去問をベースに出題範囲が全て網羅されている貴重な本なので効率よく出題範囲を学習できます。
問題を解くだけでなく、説明の部分からも出題されているので隅々まで読み込むことをおすすめします。
2021年度の試験ではほとんど同じような問題は出なかったので、この本だけやっておけば大丈夫と考えるのは危険です。この本を軸に勉強していき、わからない章や内容の理解が浅い章などは、個別の参考書を買って補充するのが良いでしょう。
おすすめ度 : ★★★★★ 星5
良い点
- 試験範囲を網羅しているので勉強しやすい
- 公式の参考書なので安心感がある
- 過去問をベースに問題が作られており良問が多い
注意点
- 解説が短く本を読んだだけでは理解が難しい場合がある。
- 問題を解きながら読破するのにかなり時間がかかる。
- この本の問題を全て完璧にしたからといって合格するとは限らない。
演習統計学キャンパス・ゼミ[マセマ]
マセマの統計学の演習のやつです。様々な確率分布やその導出、中心極限定理、検定、信頼区間など基礎的な理論や計算の練習になります。大学で統計勉強したけど、忘れてしまったとういう人はリハビリにいいかもしれません。自分はこの本のは何問か飛ばしましたが、ほぼ全て解きました。
おすすめ度 : ★★★★☆ 星4
良い点
- 解説が詳しいので途中でわからなくなることがない
- 統計検定で必要な計算の練習になる
- 確率分布への理解が深まる
注意点
- 問題数が多く、最短で準1級合格したい場合には問題を選ぶ必要がある。
- 問題難易度が難の印がついてるものは飛ばしてもOK
Rによる多変量解析入門(旺文社)
こちらは多変量解析をRで実行しながら理解していくタイプの本です。この本はものすごくおすすめです。
重回帰、パス解析、因子分析、対数線形モデル、ロジスティック回帰、クラスタリングなどRで実行し、分析結果をどのように解釈するかが丁寧に書かれていて非常にわかりやすいです。
多変量解析を初めて勉強する人にはぴったりの本です。僕はパス解析などをあまり理解できていなかったのですが、この本で理解できました。
おすすめ度 : ★★★★★ 星5
良い点
- 実際に自分で手を動かすので身につきやすい
- 結果の解釈の仕方が丁寧に書いてある
- 実務に直結する考え方が身に付く
注意点
- 理論は少ししか書いてないので、統計検定準1級レベルには不十分
意味がわかる多変量解析(ベレ出版)
こちらの本は多変量解析の数式が丁寧に一行一行書いてあります。上の本で概要を理解した上で取り組みました。必要最低限の線形代数や微分積分を学ぶことができるページがあり、簡潔にまとめられていてわかりやすいです。
おすすめ度 : ★★★☆☆ 星3
良い点
- 数式が細かく書いてあるので途中でわからなくなることがなかった
- 付録に載っている数学の準備がわかりやすい
- 多変量解析を数式で理解できる
注意点
- 準1級の多変量解析の出題範囲を網羅していない
- 細かく式変形が書いてある分、内容が物足りない部分がある
道具としてのベイズ統計(日本実業出版社)
ベイズの定理から階層ベイズモデルまでわかりやすく書いてあります。この本のおかげで2021年6月度試験の記述問題が8割ぐらい回答できたといっても過言ではありません。ベイズ統計初心者には非常にお勧めです。この本で理論を勉強し、統計学実践ワークブックで問題演習すれば良いと思います。
おすすめ度 : ★★★★★ 星5
良い点
- 1冊で試験に必要なベイズ統計を1から理解できる
- 全体的に説明が丁寧でわかりやすい
注意点
- 特になし
よくわかる実験計画法の基本と仕組み
分散分析や実験計画法の直行表などの理解が浅かったので購入しました。統計学初心者でも順番に読んでいけば、実験計画法が理解できるようにやさしく書かれています。この本のおかげで、過去問の実験計画法の問題が解けるようになりました。2021年6月度試験では出題されませんでしたが….
おすすめ度 : ★★★★☆ 星4
良い点
- 試験に必要な実験計画法を1から理解できる
- 全体的に説明が丁寧でわかりやすい
注意点
- 序盤は統計の初歩的なことが書いてあるので、統計検定2級レベルを理解している人は2章までは特に読む必要がない
- 後半は逆に出題範囲を超えている部分もある。
時系列分析と状態空間モデルの基礎(RとStanで学ぶ理論と実装)
この本は半分程度しか読みませんでしたが、時系列の基礎からARIMAモデルら辺まではかなり参考になりました。勉強時間があまりなかったこともあり、状態空間モデルはよく理解できないまま試験に臨みました。準1級の試験範囲でない部分も結構含まれています。時系列解析の本としてはかなり良著だと思うので時間があるときにのんびり読み直したいと思います。
おすすめ度 : ★★★☆☆ 星3
良い点
- 時系列分析の基礎から応用まで学ぶことができる
- ARIMAモデル辺りまではかなりわかりやすい
終わりに
統計検定2級を取ったとき全然統計のことを理解していないと感じていましたが、準1級取ってもまだまだだなあという感じです。たまたま合格できましたが、これからも知識を吸収していきたいです。
1級も問題見る感じでは数ヶ月の勉強で取れそうな気がしているので、来年ぐらいに受けようかなと思っています。
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